水分活性用センサとして電気抵抗式が推奨される理由
食品の水分活性測定器の多くでは、電気抵抗式、
もしくは静電容量式のセンサが搭載されていますが、それぞれのセンサに特長があります。
そのなかで食品衛生法では、電気抵抗式のセンサが推奨されています。
水分活性用センサとしての電気抵抗式と静電容量式の比較
特長の比較
電気抵抗式センサ | 静電容量式センサ |
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〇有機系のガスに影響を受けず、水分活性のみを正しく検知可能 | 〇0~1Awの全領域の測定が可能 |
×低湿側(0.2Aw以下)の測定が苦手 | ×アルコールなど有機系のガスも検知してしまう |
電気抵抗式のセンサは、感湿膜材料にイオン電導性高分子(電解質)を使用します。感湿膜に水分子が吸着・脱着した時の、電気抵抗の変化をセンシングしています。 有機系のガスは電解質膜のイオンを電離することはできないので、水分子だけを選択して測定することができます。低湿側(0.2Aw以下)の測定を苦手としていますが、食品分野ではあまり測定頻度の多い領域ではありません。 |
静電容量式のセンサは、感湿膜(絶縁性高分子)を電極で挟み、感湿膜に水分子が吸着・脱着した時の、電気容量の変化をセンシングしています。 しかし、アルコールなど有機系のガスも吸着できますが、それぞれのガスに誘電率があるため、測定時には水分子以外のガスにも応答してしまい、測定誤差の原因になります。 |
原理の比較
感湿膜材料 | 水分子への応答 | 他のガスに対しての応答 | |
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電気抵抗式センサ | イオン電導性高分子 (電解質) |
水分子による電解質膜からの イオンの解離⇔結合にともなう 電気抵抗の変化 |
有機系ガスでは電解質膜のイオンを 電離できない。 ※食塩が水以外の溶媒には ほとんど溶けないイメージ |
静電容量式センサ | 絶縁性高分子 | 水分子の膜への物理的な 吸着⇔脱着にともなう電気容量の変化 |
どんなガスでも感湿膜に吸着できる。 それぞれのガスに誘電率があるため、 水と感度は異なるが応答する。 |
測定値へのアルコールの影響を実際に測定してみました
電気抵抗式センサ | 静電容量式センサ |
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〇影響を受けなかった。 | ×影響を受けて、実際の水分活性より 高い数値が出力された。 |
方法
0.50Aw(at 25°C)で出力確認した各方式のセンサを、試料として3つずつ用意。エタノールを溜めた密封容器にセンサを設置し、24時間暴露させた直後から、再び0.50Aw(at 25°C)の環境下で、48時間連続測定を実施。
試料
電気抵抗式センサ n=3(R1~R3)、静電容量式センサ n=3(C1~C3)
食品には、アルコールのような揮発成分が測定対象に含まれることが想定されるため、アルコールの影響をほとんど受けない、電気抵抗式センサが食品衛生法では推奨されています。
校正用標準液での校正で問題ないように見えても、食品に含まれる成分によっては、測定値に影響が出る場合があります。
水分活性の測定では、センサ原理による特長を理解した上で、測定器を選定することが非常に大切です。